ボランティア兵庫

兵庫県ボランティア協会機関紙

脳と心の診察室便り

①シルバー外来

--介護保険被保険者のための外来です--

若栄徳彦

はじめまして。私は、神戸市中央区の花隈駅東口のビルの2階の「若栄クリニック」(以下、当院)で診療にあたっております。単に心の病気だけでなく、脳の障害に関係した心の病も扱っている関係で、このコラムを始めました。なお、当院の詳細については、ホームページ(http://www.wakae.msn.gr.jp)にのっていますが、その中の『パッジエッセイ』というのは、実は精神科(精神医学、心理学)的なことについて一般向けに書いた内容を盛り込んでいますので、休憩時間の時にでも読んで頂いて、ひと時の一服の心の清涼剤になれれば幸いに存じます。

今回は初回ということで、当院のシルバー外来を紹介します。シルバー外来の対象は、介護保険被保険者、すなわち65歳以上(第1号被保険者)及び、40歳以下65歳未満で特定疾患(初老明認知症など)(第2号被保険者)にかかった方です。

「医療のない介護はない」というのが、神戸市医師会のモットーで、会員である私もこの介護保険制度による地域の介護サービス(在宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス)と協力しあいながら、よりよい医療をめざし、介護支援の場をめざすために2002年5月にシルバー外来を開設しました。 原則として毎週金曜日にやっていますが、他の曜日でも対応可能です。 受診者をお待たせしないようにすべての初診・再診について完全予約制としていますので、予め電話(078-360-1152)予約して頂けばありがたいです。 受診者で最も多いのは認知症ですが、時には精密な画像診断にる鑑別などが必要な場合がありますが、個人経営の小さなクリニックではそこまでの設備はありません。 そこで他の専門機関との連携を重視したネットワーク医療が必要と考えました。

神戸市での認知症についての「もの忘れ外来ネットワーク」の特徴は、最も上流に神戸大学医学部附属病院精神神経科の専門外来「メモリークリニック」が位置して、様々なネットワークを形成しており、その下流にシルバー外来があります。 また、私は認知症サポート医を兼任しております。 認知症サポート医の主な役割は、認知症に関する連携を進めることにあります。 これまでに地域の大学病院・中核病院・老人性認知症疾患専門病院・老人性認知症疾患センターに脳MR1-SPECTなどの画像検査や入院等について相談してきました。 介護関係については介護支援専門員(ケアマネ)に認知症の講義を行うと共に、意見を交換したり、ホームヘルプサービス、デイサービス、デイケア、ショートステイなどの在宅サービス、グループホーム、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービス、あるいは介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどの施設サービスについて相談し、患者さんについてお互いに正確な情報を共有しあうように努めてきました。受診者で最も多いのは認知症で、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻蝉皮質基底核変性症、正常圧水頭症など、他には不安障害(パニック障害、全般性不安障害など)、気分障害(うつ病、躁うつ病など)、身体表現性障害、MCI(軽度認知障害)、妄想性障害(皮膚寄生虫妄想など)などです。 このようにシルバー外来では老年期精神障害全般を扱っていますので、もの忘れなどが気になるようでしたら、早めに受診することをおすすめします。

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